2月19日(土)
「笑顔に勝る宝なし」という言葉があります。冬季オリンピックが開かれていますが、難しいジャンプに失敗した岩渕選手に多くの選手が集まりました。岩渕選手に笑顔があったからです。笑顔がないと人は集まりません。恵比寿様にはその笑顔で魚が集まってくるのです。お釈迦様のことばに「道険笑歩」というのがあります。まさに今です。道険しくても笑って歩こう。コロナであってもいいことはあるんです。
「禍を転じて福と為す」という言葉もあります。ヒマラヤで修行していた雪山童子(釈迦)はきれいな声の「諸行無常」の前半部を鬼(羅刹)から聞いた。童子は続きを鬼に願ったが、生きた人肉を食べる鬼は空腹のため、続きを説くことはできないと答えた。童子は後半部の言葉を聞くため自身を捨て、あなたに捧げると答えた。そこで鬼は後半部を童子に教え、童子はニッコリ笑って鬼の口元に飛び込んだ。ところが鬼は童子を食べずに帝釈天(仏法の守護神)へと変わり、童子の不惜身命の姿勢をほめて童子は将来必ず成仏すると言って姿を消した。空海作とも言われる『いろは歌』は、このことを詠んだものと言われています。
いろはにほへと ちりぬるを
諸行無常(しょぎょうむじょう)
わかよたれそ つねならむ
是生滅法(ぜしょうめっぽう)
うゐのおくやま けふこえて
生滅滅已(しょうめつめつい)
あさきゆめみし ゑひもせす
寂滅為楽(じゃくめついらく)
いつか人間は死ぬんだ、だから、前を向いて歩こうということです。
これを見て笑えることは健康だということ。「老いて学べば死して朽ちず」(佐藤一斎の『言志四録』から)という言葉があります、人間は常に輝かねば…。
高野山で修行していた18才の時、49日の修行の終わりに、住職から千円、百円、十円のうち欲しいものを一つ取りなさいと言われました。その時、修行がつらくてよく泣いていた12才の少年が十円を選んだんです。訳を聞くと、「この十円でお母さんの声が聞こえるんです。」この少年は、今は岡山のお寺の養子となり、お母さんを呼び寄せて立派な住職になっています。
辛いという漢字に一本線を入れると幸となります。つまらない、つらい日があっても、つまらない人生はありません。コロナ禍ですが、辛抱して(辛さを抱きしめて)次にそなえましょう。「一笑懸命、笑涯健康」です。
内浜小学校で5年、姪北小学校で6年、PTA会長をされた堤さんの講演を、一部だけ紹介しました。心打たれるお話もあり、堤さんの失敗談や面白いお話に参加者は笑顔になりました。