2020年2月19日水曜日

内浜校区青少協講演会


内浜校区青少協講演会 214

『不登校ってなあに』

不登校の何が問題なのか~その背景と周囲の対応~

講師 ぼちぼちの会会長 木村素也さん


文部科学省では、「不登校児童生徒」を「何らかの 心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、 登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間 30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。

【講演の要旨】
 不登校の子と親に21年前から関わってきました。

 不登校の子は、平成13年度に小中学校で約13万人をピークに減っていたのですが、平成30年度は急激に増え過去最多の164,528人。高校生でも約5万人います。

このような状況で、国の施策は変わってきました。
まず、教育機会確保法(2016.12)で学校復帰を前提にした従来の不登校対策を転換し、不登校の子に学校外で多様な学びの場(フリースクールなど)を提供することを認めました。さらに、文科省通知(2019.10)「不登校児童生徒の支援の在り方について」で、
「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指す必要がある。


 ○不登校の時期が、休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味をもつ一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益、社会的自立心へのリスクが存在することに留意する。
 
つまり、不登校の問題は心の問題でなく進路の問題であり、今後の進路において本人にとって不利益です。勉強が遅れ、他人と接する機会が減少し、自己肯定感も低下していきます。


 不登校は
・学校や先生の視点 →学校に来ない子
・親や周囲の大の視点→学校に行かない子
・子どもの視点   →学校は行けないところ
 と中身や問題が変わります。
 前述のように子ども目線と大人目線は違います。不登校は、どちらにとっても初めての経験だし、子どもは自分のことをうまく説明できず、大人は話を聞かない、どうしても待てないし、従わせようとしてしまう。不登校の子に入ってくる情報は「このままでは将来はない」と不安をあおられるばかりだから、ひきこもり、昼夜逆転、ゲーム依存などへ逃げてしまうのもしかたありません不登校の子に「どうしてほしい?」と聞くと、「学校に行けとうるさい、そっとしておいて」と言います。大人の見守りとは、ほったらかすのではなく、行かないかわりに何をするのか、できることを見つけることです。
 不登校の子は、学校に行かなければならないと葛藤していて、不登校の時間は自分の考えを整理し飲み込む時間です。子どもを信じ待ってあげる(なかなか待てないが…)、これが見守りです。結論を急がない、大人の考えを押しつけないことです。まずは安心できるような場所と人と情報が必要で、一人でも自分を理解してくれる大人がいると子どもは救われます。やっぱり褒められたいし、認められたいのです。

 また、子どもは、親や大人の思う通りには育ちませんし、言ったことをすべて実現する子はいません。失敗はしたくないので、目先の成功の道を求めがちですが、自分の選んだ道を成功にできるかどうかは努力が肝心だということを忘れてはなりませんし、ぜひ伝えていきたいことです。


 【感想】
 穴井 内浜小学校校長は、子ども目線の登校指導で子どもたちを迎えたいと言われ、国 内浜中学校PTA会長は、自らが勤務する障がい者施設で「傾聴、共感、尊重、ほめる」という姿勢で障がいを持つ方々に接していますと述べられたのは印象的でした。